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小説(お人形 7~8 ブログトップ

小説 ☆お人形☆ [小説(お人形 7~8]

         7.

 気が付くと、ひなはあの洋館の焼け跡に立っていた。
ひなの手には焼け焦げた日記帳が握られていた。
「読んではいけませんよ」、微かにお父様の声が聞こえたような気がしました。

 白い霧につつまれたひなの前にあの人が現れひなを抱き上げました。
ベッドにひなを横たえると、ひざまずいたあの人はつぶやいたのです。
お母様の名前を何度も何度も・・・・・。

 翌朝、ひなの手首から流れた血は床に薔薇の花を描いていた。
赤い薔薇の花。
しかし、ひなの傷口には白いハンカチーフがしっかりと結ばれていました。

 「お父様、助けて・・・・・」



           8.

 病院のベッドで、ひなはあの人の日記帳を開いた。

あの人はお父様の歳の離れた弟でした。
そして、二人してお母様を愛してしまったのでした。
何も知らないお父様とお母様は結婚して、ひなが産まれました。
弟の気持ちを知った時、お父様はお母様とまだ幼いひなを連れて
あの洋館を出ました。

 広い洋館にひとり取り残されたあの人は、閉じこもったまま
お母様を思い続けました。
転んで泣く幼いひなの涙を拭いた白いハンカチーフ。
お母様の手が触れた白いハンカチーフ。
あの人は思い出にメスを入れ自分自身を壊しました。

 そして、あの人は白いハンカチーフになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「ひな、おやすみなさい」
ドアの向こうでお父様の声がしました。
「はーい」
ひなは灯りを消すとベッドに入り目を閉じた。

 パソコンの画面には、青白い光に包まれて眠るひなを、
じっと見つめているあの人の姿が映し出されていました。


       _________________by えありす

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